2024年11月17日。兵庫県知事選挙 投開票日。この知事選をめぐる一連の情報に接し、改めて、直接利害関係のない私ですが、テレビや新聞、雑誌などのマスメディアと報道について考えてみることにしました。マスメディアや報道、ジャーナリズムに関心のある方に少しでも有益な情報をお届けできましたら幸いです。
【当初】私が接した「報道」から受けた印象
何気なく見ていたテレビのニュース、SNSの動画から聞こえてきたのが 『「パワハラ」や「おねだり」する知事が内部告発された』というものでした。兵庫県知事の「けしからん」行為の報道です。
視察先で「お土産をおねだり」したり、職員に対して理不尽な要求をつきつけ、かなわないと「大声で怒鳴りつける」などの「パワハラ」をしたり…。
「公益通報者保護法」に違反する「告発者さがし」をして処分した。後日、告発文を作成・配付した人物が自ら命を絶たれる、など。
とんでもない「悪人」がいるなぁ、という印象を持ちました。
ところが、数か月後には、あれは何だったのだろうかと疑うほどに印象が変わったのでした。
マスメディアとジャーナリズム
知事選をめぐる一連の放送(情報配信)に関連して、マスメディアとジャーナリズムについて見ていきたいと思います。
マスメディア
マスメディアとは、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などで、不特定多数に情報を伝達する媒体のことです。
現在では、YouTube、X、ブログといったSNSやWebメディアもマスメディアとして位置づけられています。
また、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌を「オールドメディア」、SNSやWebメディアを「ニューメディア」と分類することもあります。
情報は、これらのマスメディアから日々、あるいはタイムリーに配信続けられていました(います)。
ジャーナリズム
ジャーナリズムとは、一言でいえば、民主主義の維持・発展のために、権力者の不正や腐敗を監視し、正しい情報を民衆に知らせるというものです。
この担い手が「ジャーナリスト」と呼ばれる人たちです。
イメージとしては、新聞記者、ニュースキャスターといったところでしょうか。
そして、ジャーナリストが取材した事実や事柄、それらの解説を広く伝達することを「報道」と呼ばせていただきます。
今回の一連の情報配信の中で、「報道」に値するものが、どの程度あったのだろうか(あるのだろうか)と考えたくなりました。
個人的には、少なくとも大手テレビ局や新聞社は、ジャーナリズムの体現者であるという期待があるのですが…。
「真実」は、なに!?
オールドメディアでは、最初から最後まで「疑惑の人」という論調が主流であったようです。
ニューメディアでは、「疑惑の人」から「疑惑への疑義」となり「疑惑の人は意図的に作り上げられたこと」という論調に変わっていきました。
結果、「パワハラ」も「おねだり」もなかったし、公的PCの内容から原因は知事ではなく別のところにあったのではないかなど、「真実」の主流が変化していったのです。
「悪人」から「善人・正義の人」へ変わったのか!?
はたして「真実」は、どちらなんだろう…。
情報の見方
ひとつのテーマに対して、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、X、YouTubeなど、複数の人が、それぞれの情報を発信されています。
同じような論調、論旨のものもあれば、全く逆のことをいっているものもあります。
それらの情報の中から、事実に基づいた公正で信頼できる情報であるか否かを判断するには、少なくとも、以下のような姿勢で情報に接することが必要だと考えます。
- 情報の鮮度を確認する
- 「事実」と「解釈」の部分を分ける
- 「誰が」行い「誰に」とって「得」(「損」)になるのか考える
この姿勢をもって、複数の情報を比較検討しながら自身の考えを固めていくことになります。
【解説】
- 情報の鮮度を確認する
その情報の発信時期はいつか。古ければ情報源が変化していることもあれば、その後に情報そのものが変更・修正されている場合もあります。 - 事実と解釈の部分を分ける
客観的な事柄(事実)と個人の意見や見解、分析、評価、予測など(解釈)を区別します。事実のみを伝えている情報は信頼性が高い傾向にあります(「事実」を検証する必要もありますが…)。解釈が含まれている場合は、その解釈の妥当性を検討することが必要です。感情的な表現は要注意です。 - 誰が行い、誰にとって得(損)になるのか考える
誰が:公的機関、個人、匿名など。学者、専門家、経験者など。
誰に:不特定多数、特定の人物や団体など。国民、県民、市民など
得(利益・メリット)・損(不利益・デメリット):経済的損得、政治的影響力、社会的評判など
【結末】まとめ|「新しい」情報に接した後の印象…
私の印象は、SNSやWebメディアの情報により、端的には、「悪人」から「善人・正義の人」へと変わりました。
つまり、私の「真実」が変化したということになります。
事実は一つですが、真実は一つではなく発信者(受信者)の数だけある、ということでしょうか。
(参考:【判断・評価】「事実」と「真実」について|気ままに人生スケッチ)
この振り幅の極端さよ、という感じです。
このことも、考えようによっては、危険性をはらんでいることかも知れませんが…。この稿では、さっと流します。
『「テレビで言っている」「新聞に書いてある」ことだから正しい』という時代は、とうの昔に終わっていたのかも知れません。
特に、ニュースに接する姿勢としては、オールドメディアだから、ニューメディアだから、正しいとか正しくないなどといった決め付けをせず、冷静沈着な姿勢でジャーナリズムに基づいた報道を選択できるようにしたいと考えています。
〔参考〕
2021年07月18日 S知事当選(5期20年に渡り知事を務めたI氏の任期満了に伴うもの)
2021年08月01日 S知事就任
2024年03月12日 県議会議員や報道機関などに匿名で告発文が送付される。
2024年06月13日 百条委員会 設置可決
2024年09月19日 不信任案が全会一致で可決
2024年09月26日 県議会解散と辞任を否定し失職することを表明
2024年09月30日 失職
2024年10月31日 県知事選告示
2024年11月17日 投開票 再選
【参考・参照】
YAHOO ニュース(【独自】|現代ビジネス)
YAHOOニュース(【追及スクープ第2弾】|現代ビジネス)
ジャーナリズム・マーケティング
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